日本のキャッチ・アップの航跡 2
日・米間の貿易摩擦に端を発しているアメリカによる"日本たたき"は理不尽きわまるものであり、不当であり、悪いのは日本でなく、むしろアメリカであるとの評論が一時もてはやされました。
しかしこのような議論は、「百害あって一利なし」なのです。
たしかに財政赤字を大きくしたのはアメリカの責任ではありますが、そのお蔭で日本は対米輸出を伸ばし、貿易季を増やし、また日本政府の財政再禦可能になったのです。
・・・この意味からすると、日本はアメリカの双子の赤字・・・財政と貿易の赤字から利益を受けたのでした。
過ぎ去ったことに「たら」という仮定をつけられるのはフィクションの世界だけに許されることなのかもしれませんが・・・
もしアメリカが1980年代、真面目に財政赤字の削減をはかっていたら、アメリカ経済はデフレになり、不況に陥っていたでしょう。
そうすれば日本も輸出を伸ばすことができず、日本はアメリカの不況の波をまともにかぶったに違いないのです。
その意味で、日本とアメリカは経済的には運命共同体なのであって、アメリカが悪いの、日本が悪いのという類の議論は、ただ両国民の感情を高ぶらせるだけでなく、政府・最高責任者の政策運営の是非を問題の焦点からはずすことになります。
摩擦・軋礫の解決に役立つどころか、むしろ有害なのです。
最も大切なことは、摩擦・軋礫現象に惑わされることなく、それを惹起させている両国の経済構造なり産業構造を客観的に分析し、正しい現状認識をすることです。