日本のキャッチ・アップの航跡 4
1960年以来日本の産業のうち、いち早くアメリカの産業の技術水準に追いついたものは、製造業の中でも化学、鉄鋼などの素材生産部門です。
それらが他の加工組立型生産部門への原材料の投入効率を高めたのでした。
加工組立型の製造業の生産効率のキャッチ・アップは、素材型の製造業よりも時間経過上いささか遅れて進んでいます。
1980年でも、アメリカの水準が高い産業部門がいくつかの軽工業にみられますが、格差は縮まりつつあり、近い将来、日本がキャッチ・アップする予想ができます。
しかし、農業、石油・石炭製品など土地やエネルギーなど天然資源に依存する度合いの大きい産業部門では、1980年でもアメリカは断然優位に立っています。
歴史的にも、その効率格差は縮小しておらず、将来ともキャッチ・アップは不可能です。
・・・これらの図からわかるように、日本が40年以上かけて、堂々として築き上げてきた産業構造も、アメリカとの比較において、キャッチ・アップできた産業は、数部門にすぎないのです。
1980年時点でのデータでは、古いと考えられるかもしれないですが、産業構造としては現在もあまり変わっていません。
しかも日本が競争力が強いのは、規模の経済性を生かした、いわゆる大量生産方式を得意とする部門で、具体的には鉄、IC素材などの中間財・生産財や、最終製品でいえば自動車、家庭電気製品などにすぎないのです。
産業全体では、アメリカは依然として日本よりも強いことがわかるでしょう。